
紗綾形模様が美しいこちらは、箱根のホテルからご依頼いただきましたワインリストのカバーです。
箱根町は畑宿にある寄せ木屋さんから、寄木のズクを分けていただき製作しました。
まず模様を解説します。
着物でよく見かけるこちらの模様は紗綾形(さやがた)と読みます。
吉祥文様の一種で、不断長久(繁栄や長寿が続くこと)を意味する縁起の良い模様として使われるそう。
梵字である『卍(まんじ)』の字が斜めに崩されて組み合わさっており、それが転じて、別名『卍崩し(万字崩し)』や
『卍繋ぎ(万字繋ぎ)』とも呼ばれているとか。

美しく仕上がりましたので、全方位お見せします。


色の違う木片を、さまざまな形に寄せて組み合わせ、それを削ったものが「ズク」です。
「模様の部分はとても薄く、0.15mm~0.2mmほどとも言われます。
小田原近隣の小学校で子ども時代を過ごした方には、「ズク」という言葉は親しみを感じられるのではないでしょうか。
社会科見学で、寄木細工の職人さんを訪ねたことがあるはずです。
そして見学の帰りにいただくお土産が、この「ズク」でした。
この時に買ったのか、別の時だったか、寄木細工の小物入れを40年近く経った今でも大事にとってあります。
このワインリストのカバーも、ながくお使いいただけることを願っています。