新規オープンのホテルから、建設前の敷地開発時に伐り出した材料で、ホテル内の
装飾品を作ってほしい、とご依頼いただきました。
ご依頼主は林業家の方です。
立派なヒノキを、エントランスと客室に、それぞれオブジェとして配置しました。
今回は加工の様子から、ご覧いただきたいと思います。
まずエントランスの壁材を製材してくれたのは、いつも信頼して仕事をお願いしている地元・小田原の製材屋さん。
写真右手の手ぬぐい巻きの方が製材屋さんです(ちなみに場所はラ・ルース工場裏手です)。
壁面オブジェ用の材は伐採前、内部の腐食が心配されましたがまずは製材をしてもらいました。
製材した板を弊社工場でホテル側のデザイナーさんに確認していただき、ダイナミックなものが製作できました。
杢目を活かし、皮付きの丸太を製材し、磨きをかけて使用しています。
通常は皮や白太の部分はなるべく避けるものですが、使えるところを最大限に生かしてオブジェに生まれ変わらせました。
少しわかりづらいかもしれませんが、皮を剥いだあとの木肌がなめらかに隆起しているのがお分かりいただけるでしょうか。
この壁面オブジェの前方には、立派な1本の丸太を配置しました。
こちらはなんと、重量276kgにもなります。
CNF+ポリウレタン+オイル仕上げで塗装を施しました。
きれいに磨いている最中で、その手触りの良さに、たびたびうっとりしてしまったほど。
ラ・ルース工場での加工を終え、現場まで運ぶ過程を少しだけお見せすると、、
丸太をクレーンで吊るところ(手前の後ろ姿は社長です)。
設置現場に到着しました。
成人男性9人で、慎重に屋内に運び込みます。
弊社スタッフはもちろん、ご依頼主である林業家さんも、現場工事関係者にもお力を借りました。
完成パースを見ながら、設置位置を調整し、
あるべき場所に納まりました。
設置の苦労も吹き飛ぶような、威風堂々たる丸太の姿。
最後に紹介するのは、客室の壁面オブジェです。
お部屋の全景は、このような素敵な設えです。
外には露天風呂、木質の床。調度品も落ち着いたトーンの色調でまとめられた、大人のムード。
オブジェに、もう少しアップで寄ってみました。
こちらは自然のままの色ではなく、客室の雰囲気に合わせて塗装しています。
デザイナーさんのこだわりをきちんと表現すべく、作業中に数回弊社工場に足を運んでいただきました。
壁面に、このヒノキ板が一枚あるとないとでは、かなり変わるのではないでしょうか。
主張しすぎない、でも静かな存在感を放つ仕上がりになりました。
今回のご依頼は、昨年6月初旬、ご依頼主さまの工場視察から始まりました。
正式発注後、材料や製材状況の確認で数度弊社を訪問いただき、その都度、材のどの部分を使うか等
細かい指示をいただきながらの製作でした。
もともとこの場所に生えていた木を伐り、また同じ場所で使うーー。
今回のキーワードは「炭素保有」です。
そこに立っていた木を、その場所で使うことでCO2の固定ができました。
エネルギーの排出は最低限にとどめています。
産地の確かな木を、もっとも地球に負担の少ない方法で製品化する。
このことを念頭に、日々の仕事に取組みたいと思います。