小田原城の本丸へ抜けるのにくぐる常盤木門。
この近くには、大きな黒松が支柱に支えながらも懸命に生きています。
常緑樹の意味だそうで、門の傍らに植えられている松が何十年も生長することになぞらえ、
小田原城が永久不変に繁栄することを願って、常盤木門と名付けられたといわれています。
この度、復元工事を手がけた芹澤さんからの依頼で、『常盤木門の金属プレート』の依頼に挑みました。
金属プレートをとめるための『鋲(びょう)』も作成。
■小田原城常盤木門の金属プレート劣化の状況
■雲形の形の木材プレートの図面
1)最初に、宮大工さんが取り付けてあった金属をもとに、木型を作製。
2)この木型から、図面をおこし、ラ・ルースのデザイナーがデジタルデータにしました。
通常のお仕事だと、事前資料をもとにデザイナーも図面に起こしたりするのですが、今回は資料はないという条件。
3)ラ・ルースでは木型をそのまま取り込むのはできなかったため、いつもお世話になっている印刷屋さんに協力を要請。
雲形のアールの部分も、それぞれのプレート微妙に違うという発見。
木型をトレースし、鋲の穴の位置も微妙に違うことなどもあいまって、ものづくりの深みを感じたデザイナー。
それぞれの位置を調整し、図面を作っていきます。
■木材プレートを金属プレートへ
4)図面の製作が終わった後、金属加工の会社さんにお願いし金属プレートにしていきます。
金属加工を依頼したのは、ラ・ルースのオリジナル商品のブックエンドの金属部分をお願いしている金属加工屋さん。
ラ・ルースの製品を作るために、特注のオーダーを受けてくださる会社さんです。
金属加工の会社さんに送るのに、まずは木製のプレートを送る。
そして金属加工をしていただき、サンプルを確認。
再度調整のために、金属プレートをまた送る。金属プレートは、本当に重かった・・・
■使用する材の持つ特性を最大限に生かす
最新技術の塗装技術を盛り込んで、さびにくい塗装を施しました。
『城』という経年変化を感じる空間をどのようにに演出するかは、
その時代の職人の技術などを大きく感じる作りとなっているように感じます。
材が持つ弱い部分も、仕上げにひと手間かけることで
エイジングのスピードを緩やかにできるように。
ほかの素材と組みあわすことで、補い合う効果につながるように…。
マテリアルな視点を含んだ今回の仕事は、ラ・ルースにとっても学びにつながりました。
ラ・ルースでお取引のある技術をもつ業者さんに協力要請をした良い仕事となりました。
この度の金属プレートは、小田原城址公園の常盤木門で見ることができますので、
ぜひいってみてください。
桜が良い時期ともなりましたので、桜をたのしみながら、小田原の町の探索も楽しんでください。
参考資料
【小田原市:デジタルアーカイブ 技人vol.5【大工】芹澤伸明(2022年3月29日)】
https://www.city.odawara.kanagawa.jp/encycl/wazabito/daiku.html
【プレスマンユニオン:小田原城・常盤木門 – ニッポン旅マガジン(2022年3月29日)】